ぱこといいます(仮)

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読めるから読もう『ひとりでしにたい』ーカレー沢薫

 

 

一部では話題のこのマンガについて、この前なんとなしにツイートしたら公式の方とご本人(アカウント)から RT されてちょっとびっくりした。

 

 

どうも今三巻が発売されたばかりで、わりと力を入れているのかもしれない。なので、その助力になればとこの Blog でも紹介してみる次第です。

 

このマンガ、ツイッターで検索すると自殺志願者と思われてしまうので、パンチのあるタイトルやな、といっつも検索している時に思っています。余談。

 

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深刻な今後の人生の課題と日本の根本の問題をラブコメで読める恐ろしさ

 この漫画はラブコメです。孤独死、介護問題(老老介護、親子関係)、結婚、生活苦、葬儀について、などを現実の生活から見た日常的な視点にも関わらず、全編ノリの良いラブコメです。

 

かなりギャグの多いラブコメなんですけど、下手なハウツー本より全然生活や日常的に直面することに近い会話や考え、出来事がぽんぽんでてくるんですよね。主人公は実家が今の時代にしては珍しく裕福で、わりと親子関係も問題がないので、将来のこととか、自分の人生のこととか、考えたことが一切ない。その視点もとても良いと思います。

 

まあ私だって、ねえ。考えてるのかって言われると疑問ですよ。

 

普通にラブコメとして面白い

エピソードの展開がものすごくて、「次はこうなるだろう」って展開予測できる人はいないと思います。「なんでそうなる!?」っていう展開でどんどん物語がめまぐるしく進んで行きます。その物語の要素が、なぜか全部日本の抱えてる根本的な問題とその苦悩になっているので、それでテンポよく話が進むという謎。どういう漫画だ。日本にこんなマンガ一つしかない。

 

過言じゃなくて。本当にこんなマンガ今日本にこれしかない。

 

日本の介護問題や老人問題を語るために漫画があるんじゃなくて、ラブコメがまずあって、その話のギャグやメインストーリーの展開の要素として社会問題がある…っていう現実的な生活から、制度だの老後準備の話になるわけです。よくこんなマンガ作ることできたもんですわ。

 

台詞も、家族問題の深くえぐる所からでてきたものばかりで一言一言が読者に問いかけてきます。

 

「トロくないですか?」

「考え方、甘くないですか?」

「本当になんにも考えないで生きてきたんですね」

 

みたいな。これがギャグとストーリーに絶妙に編まれた味になってテンポが良くていいストーリーになっています。

 

何回も言いますけどラブコメなのです。ただ、その要素がとんでもなく重くて黒いので陰影がすごいことになってる漫画です。

 

あなた一人じゃないと言ってくれる本でもある

「太い実家で無自覚に育ったから、なにも今後のこと考えずにここまで来ちゃったんですか」と言われる主人公ですけど、まあここまでしっかり突っ込んで考えてきてる人は少ないんじゃないかと思います。

 

なにしろ今の日本で生活している人の特に若い人はもう本当にお金がない。

 

生活が大変。こんなの、とても考えられないでしょう。保険払って年金払って、これからのオリンピック負債はらって、老人寡占問題の追加税金もなんだかんだで払って…

 

もう知るかうるせえってもんじゃないですか。

 

でもまあ当然困るのは自分な問題でもあるわけです。こういう問題、考えた方が良いのは間違いない。大体の物事っていうのは、やっぱり準備したり手配を事前にある程度しておいた方が負担にならないわけです。

 

でもそんなの中々手をつけられない…そうしているうちに行くところまでいったのがこの物語の主人公なんだから、よくできた話だと思います。

 

一切不愉快な要素はなく、ご老人でも若い人でも読めるようになっているのは相当色々配慮している証拠でもある気がします。

 

そういう意味でもお薦めの漫画でございます。

 

ちょっとネタバレになってしまいますが、最新刊の終わりのヒキは「お父さん…投資をはじめようかと思うんだ…(老後のための資金を使うつもり)。もうツテはあるからソイツに連絡もしてある。」です。地雷過ぎる。

 

役職勤めた男性老人典型過ぎるムーブ。

 

連載も少しだけ続き読んだんですが、そこを一面的な否定で終わらずまっとうで冷静な考え方ベースに話が進んでるようです。早く読みたいよ四巻。

 

 

 

さて、そんな『ひとりでしにたい』ですが、序盤は結構なページを無料で読めるので、読むだけでも是非↓

 

morning.kodansha.co.jp

というわけで、『ひとりでしにたい』の紹介でした。